小田原

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 バスだったから声をかけることは出来なかった。温泉場中央で降り、藤木川沿いを歩いた。ちびまる子ちゃんの藤木はユニークだ。 『山田君なんか死んだってどうだっていいよ』  トリップした。  タカトラは車を運転している。車はフィアットだ。トンネルの中にはパーキングがあり、フィアットを止め分厚い扉を開けると白いホテルが聳え立っている。    ホテルの外に、テラス風のバーがある。タカトラはジントニックを頼んだ。  17歳くらいの少女がウェイターだ。 「景気悪いですね?」  少女とは思えない大人びた発言。 「アメリカのせいだよ」 「双子の赤字ですからねぇ?」 「は?」 「財政と経常、2つも抱えているんですよ」 「ワタシ、ミク、よろしく」  トリップから覚めてタカトラは『紅葉館』って旅館に入った。部屋にリュックや刀を置いて、大浴場に行った。  湯船に浸かっていると小柄な老人が入って来た。体を洗い、風呂に入る。 「うーん、いい湯や、どこから来はったん?」  まさか、「戦国時代です」なんて言えるはずもなく「埼玉県の大宮です」と答えた。タカトラは大宮出身だ。  「ほーう、ワシは京都から来た。お主にいいことを教えちゃる、夜12時に五所神社に行きなはれ」  彼の正体は千利休。
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