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イノスケ
イノスケは夜になると憑依することが出来た。だから、昼間は普通の人間だ。
イノスケは印刷屋をクビになった。失業給付も終了して、税金と健康保険を納めなければならなかった。
イノスケは富田の腹心だった。富田と共に織田に寝返り、長島一向一揆を鎮圧し、信長の護衛などを任された。
富田が独立するとこれに協力し、前波を討つ。北之庄にて七里頼周(本願寺の坊官。顕如に見込まれ、加賀一向一揆の指導役になる。)に討たれる。
イノスケは蛇丸って男に憑依していた。イノスケは人を殺すと透明になることが出来た。
大宮にある印刷屋で課長をナイフで刺し殺してやった。残業で1人しかおらず、殺すのは実に容易かった。
1人につき1時間しか透明になれない。
大宮からなら上野までが約1時間だ。
工場から出て大宮駅へと猛ダッシュした。
蛇丸は小中時代は壮絶なイジメに遭っていた。高校のときに出来た彼女にも『暗い』って理由でフラレた。
会社に入り上司たちからイジメられ、同僚からはシカトされ、新しく出来た彼女にも旅行前日にフラレてしまった。
印刷屋をクビになった夜に蛇丸は自殺しようとマンションの屋上にやって来た。1歩進めば楽になれる。
ストレスのあまりに蛇丸はイノスケが憑依した。死神として現れたイノスケは手を伸ばし、黒い光が放たれた。
蛇丸の内側で禍々しい力が目覚めた。
「コロス」
蛇丸の手にはいつの間にかナイフが握られていた。最初の犠牲者は吉瀬って上司だった。路地裏でベロンベロンになって酔っ払ってるのを偶然見かけた。
ナイフでグサグサ突き刺すと、蛇丸は透明になった。蛇丸は吉行って人事部長の名刺を死体のそばにおいてやった。
吉行は指名手配され、現在も逃走中だ。
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