ドッキリだって言ってくれ

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 笑えたら笑っていたと思う。でも今の僕は口の端をひくひくさせるのがやっとだった。  解凍って、マグロじゃないんだから…。  お医者さんは僕のそのひくひくをどう受け取ったのか、相変わらず静かに声を紡ぐ。 「あなたは治療法が解明していない病気にかかり、死を間近に控えていました。そこであなたの…奥様、が、あなたの身体を冷凍保存することを希望したのです。いつか治療法が見つかるときまで」  …何だその安いSF。っていうか、僕が病気だって? 全然覚えがないぞ。僕はそりゃあもう元気で、新婚の奥さんもいて、ご飯だって毎日おいしくて。 「覚えていらっしゃらないのも無理はありません。倒れたのは突然だったそうですから」  混乱はピークに達した。 「いま、は」  必死に唇をもごもごさせて、なんとかそう言った。僕の質問を悟ったお医者さんは、一度瞬いて、答えてくれた。 「西暦2063年です」  …誰かドッキリだって言ってくれ。
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