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きっと僕だったらひなのようにはできない。
観覧車を降りてから僕はずっとそう思っていた。
観覧車を降りた僕たちは現地で解散して僕は司の運転する車に乗って家へと向かっていた。
「どうしてそんなに考え込んでいるんですか?」
「・・・・・・・・・・僕だったらひなのようになれないなと思って」
「確かに瑞姫には大変かもしれません。でも、私や副社長はそんなひなたさんの希望を少しでも叶えられるようにしているんです」
「ひなの希望?」
「ええ。ひなたさんの希望はささやかなものですからね」
「今日みたいなダブルデートがしたいとか?」
「はい。ほかにも同じ主婦の友達が欲しいとか・・・」
「だから僕を紹介したの?」
「そうです。でも、私は2人ならとってもいい友達になれるかもと思っていたので・・・その予想が当たっていて本当によかったです」
微笑んでいる司は本当にうれしいらしい。
「ひなを紹介してくれてありがとう」
「どういたしまして。これからも定期的にこういうことしようと思ってまが・・・・・・どうですか?」
「いいと思う。僕も楽しいし!」
今日みたいなダブルデートも悪くない。
「ならよかった。瑞姫、これからは2人の時間を楽しみましょうか」
「・・・うん」
赤信号で止まった車内にチュッとリップ音が響いた。
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