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「久米くんにも、紹介するね!
ロシアから来たルカくんと、イタリア人のマッテオ・グリーチナくんだよー♪」
アパートに戻るとにこやかに、管理人さんが紹介してくれた。
僕らの目の前に立っているのは、長髪に着物姿の細身のイケメンさんと、色白で可愛らしい、中性的な雰囲気を持つ銀髪の男性。
えっ...、待って。
僕の他って、もしかして全員、外国の人なの?
僕は根っからの、理系人間。
その事に気付いたのは、中学の一年になったばかりの頃だ。
だから早々に、国語と英語は投げ出した。
そのため僕の英語レベルは、かなり酷い。
『Is this an apple? 』
『No,it is a pen.』
りんごとペンの見分けがつかないなんていう、正気の沙汰とは思えない会話レベルで止まってしまっているのだ。
「はろー、ないす とぅ みーちゅー。」
恐ろしいまでに片言な、ジャパニーズイングリッシュを繰り出した。
すると二人は、キョトンとした感じで顔を見合せた。
...こんな初歩的な英語すらも、発音が悪すぎて伝わらないのだろうか?
く...っ、こんな事ならばちゃんと、勉強しておくべきだった...!
そう考えた、その時。
「初めまして、ルカです。
日本についてはまだ勉強中なので、いろいろ教えて頂けると嬉しいです。
よろしくお願いしますね。」
少しだけはにかんだ様に微笑み、ロシア青年は言った。
あまりにも流暢な日本語に驚き、馬鹿みたいに口をポカンとあける、僕。
「はじめまして!自分はマッテオです。
これからよろしくお願いします…ね?」
今度は長髪のイタリア人は爽やかな笑顔を浮かべ、挨拶の言葉を終えると、僕にウィンクをひとつ、して見せた。
なんだ、二人とも日本語、ペラペラじゃんっ!
...うぅ、とんだ赤っ恥だ。
「久米 敏明です。
よろしくお願いします。」
ただでさえ人見知りな僕は、上手く笑うことすら出来なかった。
はぁ...、ホント僕って奴は。
きっと阿呆な上に、愛想も悪い男だと思われた事だろう。
こんなの絶対、第一印象最悪じゃないか。
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