恋愛から始めよう

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幸せな毎日に突然訪れた 妊娠・・・・・。 ヤマトはすごく喜んでくれたけれど 体調の悪さも手伝って 「私みたいに 子供の時愛された事ない人間に 子供を育てる事ってできるの?」 不安が襲ってきて 怖かった。 「母親って何? 子供を愛するってどうやるの?」 ヤマトが慰めてくれるけれど私は不安の方が強くて 毎日ふさぎ込んでいた。 体調も気持ちも下降気味だったある日 夜目覚めて隣にヤマトがいない事に気が付いた。 寝室のドアをあけると 薄暗いリビングで  ソファーに座って頭を抱えているヤマトがいた。 「ヤマト?何してるの?」 ヤマトがすごく慌ててる気がした。 「なんでもない。早くベッド戻りな。」 様子がおかしくて 私はヤマトに近づいた。 「ヤマト?」 顔をのぞき込もうとすると 反対側を向く。 「ヤマト?」 「ナナ・・・・俺はナナに何をしたらいい? 不安を取り除くために 俺はどんな言葉をかけたらいい? もう引き出しがなくてさ……情けない。」 ヤマトの声が震えている。 「泣いてるの?」 「いや泣いてないって。」 ヤマトの頬を両手で抑えると手が濡れた。 「俺とナナが愛し合って ここに二人の子供が宿ったんだ。 この子はお腹の中から幸せな子だよ。 だって俺たちこんなに愛し合ってるんだよ。」 震えるヤマトの声に私の頬にも涙が流れた。 「きっとナナは立派な母親になる。 俺とナナの子供だよ。 愛せるに決まってる。」 「私 おかあさんになるんだよね。」 「俺は おとうさんになる。 俺がいるから・・・・だから一人で苦しまないで。」 ヤマトに抱きついて二人で泣いた。 こんなにヤマトを苦しめていたなんて・・・・・・。 私は一人じゃない ヤマトがいるのに 何をそんなに恐れていたんだろう。 「赤ちゃん・・・弱いおかあさんだけど 大丈夫だよ。強いおとうさんがついてるから。」 私はもうすぐ母親になる。
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