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隠されていた過去
「太郎ちゃん…太郎ちゃん…」
余りに突然のこと過ぎて思考回路がぐちゃぐちゃになってて、自分が話していることさえわからなくなっていた。
「どうした?何泣いてんの?ねえ…」
「野崎の…長崎のおばあちゃんが危篤って…それで…休みもらっても」
「ああ、もちろん。今、どこ?」
「会社を出るとこ」
「で?」
「羽田に行って飛行機で…」
「ちょっとそこで待ってて、3分で戻るから」
「うん…わかった」
ーーおばあちゃん…
死んじゃいかんけん…
すぐ行くけん…
荷物をまとめて会社の玄関を出ようとしたところに太郎ちゃんが来てくれた。
「今からだと、長崎行きの飛行機はないよ。だから18時22分発ののぞみで博多駅まで行って、博多駅からはレンタカー手配しといたから、車で長崎まで行って」
太郎ちゃんは何も手につかない状態のわたしの代わりに手配してくれていた。
「うん…ありがとう」
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