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幼稚園に行くようになってからは
両親がいないことでよく学校で虐められた。
小学校でも、中学校になっても。
泣きべそかいてるわたしを
優しく抱きしめてくれ諭してくれた。
「華?」
「…」
「泣いたって何も変わらんで」
「だって…」
「悲しいもんな。でもな…泣いてお父さんとお母さん戻ってくんのやったら何日でも泣きい」
「お父さんとお母さんがおる子にもな…何も大事にされんと、しょっちゅう叩かれとる子もいっぱいおる」
「でもな…華にはこのばあちゃんがおるやろ?」
「ばあちゃんが華を何人分も大切にしてやるから…泣きなさんな」
そう言って幼い頃は膝の上に乗せて抱きしめてくれた。
「な…いっつも叱って叩くお父さん、お母さんといっつも優しいばあちゃん、どっちがよかね?」
そう言うおばあちゃんの声はいつも潤んでた。そんな気がする。
「優しいばあちゃん」
「んならもう泣くな。いいか、虐めた子は絶対、いつか自分が虐められるようになるとばい」
「うん…わかった。もう泣かんけん、ばあちゃん」
「ごめん…」
走馬灯のように頭の中を駆け巡るばあちゃんとの思い出を抱え新幹線に乗った。
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