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華…覚えているかい?
君はたぶん覚えていないだろうね。
君が入社して初めて会った時、
隣の部屋で企画会議に出ていた僕の目の前を
君が僕たちに会釈しながら…
そして僕が大好きだった笑顔で通って行った。
あの時から僕は君に恋していた。
いつでも楽しそうに大きく口を開けて
明け透けに笑う君。
そして長いもので6年目、
僕は君に告白しようと思っていた。
女性経験の少ない僕は
ただずっと君を遠くから見ていただけだった。
何度も告白しようとしてできなくて…
いつの間にか6年が過ぎていた。
明日こそ告白しようと意気込んでいた僕のもとに
「おい、三枝、聞いたか?」
「何を」
「デザイナーの野崎さん、結婚だって」
と君の結婚の知らせを同僚の酒井が知らせに来た。
「お前が早くコクらないからだぜ。全くご愁傷様だな」
そう言ってその夜、僕を酒に誘ってくれ、
あいつが僕を慰めてくれた。
君が結婚しても僕は君を忘れられなかったよ。
むしろ益々、輝いていた君が好きになっていた。
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