月に濡れたふたり

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068e0b08-76f2-4198-b72b-314e347732bd 深くタバコを吸い込んでは思い切り吐き出して、わたしの目は見ずに東京タワーの右側に沈みかけた琥珀色の夕陽を見るエリ。 「わたしにも頂戴」 と右手の人差し指と中指を伸ばすと      タバコを一本取り出して      渡してくる目の奥が光って見えた。 エリが火をつけてくれる。その手は小刻みに震えていた。 夕陽に染まりかけた屋上に佇む二つの心。 その中に溶け込もうとする言葉たちを探す二人の女。 タバコを吸い終わる頃、エリが重たい口を開く。 「もしかしてさ華」 「ん?」 「タモリんとアタシのこと誰かから聞いた?」     ーーエリとタモリんのこと?          何それ? すぐに出ない言葉の狭間(はざま)で巡る思考。
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