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ーーそんなに頑張らなくてもいいんじゃない?
いつもの夢の最後の言葉を
生で聞いて放心状態のわたし。
あれって三枝さんなの?
わたしの運命の人
ずっと探してきた人ーー
それから一週間後、中華街を抜け坂をゆっくりと登りながら自分に問いかける。
ーータモリんが好きなの?
デザイナー辞めてもいい?
仕事を諦めてタモリんとの関係を続けても、それでもその恋が報われる確証なんかない。
ーーそれでもいいの?
仕事も恋もダメになったら?
坂の上のいつものスーパーに寄って
少しだけの食材とツマミを買って
マンションへ続く坂道を登っていく。
突然、アタシの視界に飛び込んできたマンションのエントランスコートの前に立ち尽くしているスーツ姿の男。
男は伏し目がちに下を向いたままひとつ大きく溜息をついた。
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