出会いと別れ

8/16
333人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
069ecf36-a631-4a61-89f9-faccf0b549ee 「やめてよ!ねえ!やめてって…保のこと嫌いにならせないでよ…お願い…好きなままで…」 ひ弱そうに見えてもやっぱり男。     男の力にかなうわけはなく     どれだけじたばたしても     跳ね除けることはできなかった。 それでも心の中のどこかでは…     少しの嬉しさ、そして悲しさ、辛さ     色んな感情が交差した、     言葉なんかでは割り切れないものに     雁字搦(がんじがら)めに縛られる。 人の感情なんてきれいに区分けすることなんてできるわけない。 しかもこれは普通の恋ではなく…不倫というただでさえも曖昧(あいまい)な感情の中の恋なのだから。 「タモリん…」 「華…」 「ごめん…ごめんね…」 「なんで俺たちもっと早く会わなかったのかな…」 「うん…そうだね…」 芝生の上で抱き合った二人の影が、芝生にくっきりとなって、芝生が夜露(よつゆ)で濡れるまでふたり泣きながらキスしてた。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!