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保に抱きついて
夜空の月に別れを告げて部屋に入っても
まだ彼の温もりが肌にも唇にも残ったまま
玄関のドアにもたれてしゃがみ込む。
すぐに始まる後悔。
すぐに溢れる涙。
また始まる一人の長い夜が怖くて玄関から動けない。
立ち止まる思考。
立ち止まる言葉。
すぐに失くした恋を追いかけたくなる女。
それでもーーー
辛くなるほどに押し寄せる後悔を伝えたくて手にするスマホ。
前に進んでも辛くなる。
後ろを振り返っても辛くなる。
お互いの肌の温もりを感じる刹那だけが
たった一つだけの
わたしの居場所のはずだったのに。
それを自分みずから放り捨てた。
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