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「お前が会社の金、横領してることも…クスリやってることも…全部バラすからな、華には手を出すなよ!いいな!」
「はあ!?アタシが横領?アタシがクスリ?どこにそんな証拠あんのよ!」
香織は殊更に仰々しく自分があたかも無実であるかのように開き直った。いつもの手口だとわかっている俺に対して。
ーーふん…
「なら、今から麻取に電話して来てもらおうか?それでも俺はいいんだぜ。尿検査すりゃすぐ分かるぞ。昨日もホテルで男とやってきたよな?まだ十分検査にひっかかるだろ?」
そう言って自分のスマホを取り出すと
それを焦って止めようとする女。
「わ…わかったわよ。もう内田さんにはちょっかい出さないから…だから許して…お願い保…」
涙を流し始め俺に抱きつく女。
「また…演技か」
「違うわよ」
「俺、会社も辞めるし…家も出て行くから」
「どこに行くのよ!あの女のとこ?!」
「なわけねえだろ。さっき別れて来たって言ってんじゃんか」
「ならどこ行くの!」
「決めてねえよまだ。どっかのビジネスにでも泊まって新しい仕事に行く」
「どこのホテルに行くつもり?」
「なんでそんなこと教えなきゃなんねえんだよ!離婚届、郵送するからお前が出しとけ。そしたら新しい男とやり直せよ」
そのままの姿で部屋を出て行く男。
それを見送るわけでもなくただ俯く女。
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