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満月の夜空の下、所々血が滲み乱れたスーツを来て、よろけながら都会の狭間をあてもなく歩きながら、時折、西の空に傾きかけた満月を見上げるとまた華を思い出す。
ーー華…きっともう大丈夫…
だからさあ、
華が大好きなデザイン頑張れよ。
華が作った広告が俺…
一番好きだった。
ーーこんななる前に
俺が勇気出せてたら…
俺たち違ってたのかな?
ーー華…
今頃お前もこの同じ夜空見て
泣いてたりすんのかな?
俺たち…
同じように寂しい二人だったから…
惹かれたんかな?
ーーしあわせになれよ…
華のこと…
本気で好きだったんだ。
たとえ不倫でも…今までで一番好きだった。
誰より華が好きだった。
ーー俺が好き?って聞くと
いっつも華は『それ言うんだ』って
『好き』って言葉
聞かせてくんなかったよね…
ーーもっといっぱい
華の言葉聞きたかったよ…
きっと華には俺なんかより
ずっとお似合いの男現れるから…
その人しあわせにしてもらって…
いっぱい笑ってくれよ。
ーー華の笑顔が一番好きだった。
路地裏にあった一軒のバーの中に
空を見上げ入った。
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