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その頃、華の夫の慎吾は主計局長まで登りつめ飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
「内田局長、クリスマスはご自宅に、愛妻の元に帰られるんですか?」
国会内の廊下で皮肉っぽく話しかけてきたのは同期の山岡修造。
「皮肉かよ?」
「そう皮肉だよ」
「当たり前だろ?同期の俺らからするとお前が局長にまでなって面白いはずねえだろ」
「まあな」
「でもさ、お前に足りないものって何かわかるか?それはな『冷徹さ』だよ。出世するにはお前の言う『優しさ』とやらを捨てなきゃできねえんだよ」
「あー、だな」
「また今夜もハニーギャル呼ぶのか?」
「まあな、それくらいしか楽しみねえし」
「マスコミだけは注意しとけよ」
「当たり前だろ。そんな間抜けじゃねえよ。じゃあな」
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