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私はイッサに話しかけられて、つい返事をしてしまった。イッサの姿が見えない店長は、キョトンと鳩のような顔つきだ。
「え、えっと、なんで、私がそんな重要なことを知らなかったのかなと」
「わざわざ自分から話すことでもないかなと思ってね」
「ほら! 手伝うって言いなさい! あなたは私の手伝いをするためにここでバイトをしてるんだから」
そういうことか。二人がカップル候補だったんだ。早くイッサも教えてくれればいいのに。
「プ、プロポーズ、私にもお手伝いさせてください!」
「えっ、い、いきなりどうしたの?」
「お、お二人には、いつもお世話になっていますし、お手伝いしたいんです!」
私はずいっと店長に詰め寄る。勢いで誤魔化そう。
「エレナちゃん」
店長の眼光がするどくなる。店長の真顔怖いな。何人か人をやってそうな顔だ。
でも私も引き下がれない。イッサが店長の後ろで、黒い笑顔を浮かべながら、いちごパンツの写真をヒラヒラと見せつけているからだ。
「ありがとう! とっても心強いよ!」
店長は私の手を握り、目を細めて嬉しそうに笑っていた。直球でお礼を言われることがめったにないので、照れ臭い。
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