第4章 モテ期がきました

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「あなた、自分の立場をもう少し理解した方がいいわよ? あの写真をさらされたくなかったら、文句言わずに働きなさい」  このおかま野郎、人が大人しくしてれば調子に乗りやがって。いつか絶対、弱みを握ってやる。 「それに先輩も呼んであげるから大丈夫」 「せ、先輩? ど、どういう意味ですか」 「あなた以外にも私のげぼ……スケットがいるのよ」 「い、今、下僕って言いかけました?」 「細かいことはいいでしょ!」  こいつ私のことをなんだと思ってるんだ。 「エレナ、そろそろ交代よ」  休憩室のドアがガチャリと開き、さきさんが入ってきた。 「は、はい」  私は急いで休憩室から出ると、店内はいつもより騒がしかった。特に女性客が。はるかちゃんが興奮した様子でこちらに駆けよってくる。 「エレナちゃん! 今ね、かっこいい男の子が来店してるんだよ!」  はるかちゃんが指差す方向を見ると、ブレザーの制服を着た男の子が椅子に座り、優雅にコーヒーを飲んでいた。  手足が長く、サラサラの黒髪に白い肌。涼し気な目元に、鼻筋がスーッと通っている。塩顔男子という言葉がぴったりだ。 「た、確かにかっこいいですね」 「ああいうのが好みなの?」  いつのまにかイッサが横に立ち、不服そうに頬を膨らませていた。 「そ、そういうわけでは」 「隣にイケメンがいるのに」  イッサは手鏡で自分の顔を見て、うっとりとしている。どれだけナルシストなんだ。 「美しさって罪だわ」 「じゃ、邪魔するなら帰ってくださいよ」  そんな話をしていると、はるかちゃんがバンバンと私の肩を叩いた。 「い、痛い、痛いよ、はるかちゃん」 「ねえ、あの男の子、エレナちゃんの方見てない?」 「えっ、そんな訳」  塩顔はがっつり私を見ていた。会いたくない人を見つけてしまった嫌そうな顔で。そして、観念したように私の方に歩いてきて、じっと品定めをするようにこちらを見てきた。 「あ、あの、な、何か御用でしょうか」 「あんたバイト何時に終わるの?」 「えっ、きょ、今日は16時で終わりますけど」 「じゃあそれまで待ってるから少し付き合ってよ」 「えっ、ええっ?」  そう言って塩顔は席に戻った。私は状況が理解ができず呆然と立ち尽くした。   
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