第5章 リアル壁ドン

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「えっ、き、君、イッサが見えるんですか?」 「ああ? そうだよ」 「そんなことより政宗」  イッサは政宗を羽交い絞めにした。ミシミシと蛇が獲物を絞め殺すような音がする。 「私のことはイッサって呼びなさいって言ったでしょ」 「いたっ、痛い! おい、やめろ、筋肉おかま!」 「誰が筋肉おかまよ! イケメンお兄様に訂正しなさい!」  私はいきなりの展開についていけず、ただオロオロするばかりだった。 「ちょ、ちょっと、けんかしないでくださいよ」  一応、声をかけたらイッサが動きを止め、政宗から離れた。 「おおげさね。じゃれてるだけなのに」  政宗はバランスを崩し、派手に転んだ。 「げほっ、げほっ、はぁ、はぁ。くそ、あのおかま、いつか絶対、弱み握ってやる」  この子、私と同じことを考えてる。怖そうだけど、案外気が合うかもしれない。 「だ、大丈夫ですか?」    私は政宗を起き上がらせるために手を差し出した。  彼はきっとこの、極悪キューピッドのせいで、今までも理不尽な目にたくさんあってきたのだろう。そんな哀れみの気持ちになった。 「気安く触るな、根暗女」
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