仕事

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 一口に仕事といっても、様々である。世の中にはみんなから感謝される仕事もあれば、それとは対照的に、大多数、ほとんどの人から迷惑がられる仕事もある。目下私が従事する仕事は、間違いなく後者であろう。顧客企業から、セールスの電話を請け負っているわけだが、ほとんどの場合、全く相手にされないか、用件を告げた瞬間切られるか、「うるさい、もうかけてくるな!」と、大声で怒鳴られるかのどれかである。おかげでメンタルだけは強くなった。今、墓地の購入を勧める、案件を受け持っている。 「あ、今度新しく出来ました、墓地のご案内です」 「えっ、ボチ?」 「お墓のことです」 「ああ、お墓ですか」  出た相手は、かなり年老いた老婆である。セールスが成功するかどうかは売る商品にもよるが、話を聞いてもらえる確率は、絶対に高い。 「それは、ここから近いんですか」  おっ、向こうから食いついてきた。 「市内ですよ、そんなに遠くありません」 「じゃ、連れてってください」 「は?」 「買いますから、その中へ連れてってください」 「中へって、どういう・・・」 「もう、嫌なの、つまんないの、辛いの、一人っきりなの、さびしいの、毎日毎日ああああああ・・・」 「あ、あの、おばあちゃんね、気持ちは分からなくはないんだけど」 「だったらお願い、買うから、今すぐそん中へ連れてってよ」 「そ、それはね、無理なのよおばあちゃん」 「あの世へ行きたい私・・・」 「行きたくてもね、お迎えが来るまでは行けないんだって」 「買うからお願い、空にしといてもしょうがないでしょ、だから私をあの世に連れてって・・・」
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