歳の数だけ

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歳の数だけ

 彼が事故に遭った。    幸い命に別状はない。しかし、1つだけある記憶障害が残った。 “歳を1つ重ねるごとに、大切な人の記憶が、1人分、失われる”  何かの冗談だと、当初はみんな笑い飛ばした。ところがその翌年――。    彼は、自身の母親の記憶を失った。
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