NPC(never player character)

10/24
前へ
/24ページ
次へ
 私は頭の中から、有線でつながったスマホをだして優辞ちゃんに渡した。  古いNPCのサポート用に、体内に入れられるスマホは便利だ。  それで防犯カメラからの映像を見せる。  優辞ちゃんは逃げられるスキを探すつもりらしい。  目を皿の様にして見ていた。 「……襲撃者が、2階にきてる」  声を潜めてそう言うと、悠里ちゃんも口をつぐんだ。  こうなると、人間もNPCも関係ない。  できるだけ縮んで、辞書の盾に隠れるだけだ。  襲撃者は、無人の階段を上がってきた。  その時、階段の上と下から2機のドローンが現れた!  学校のAIは小さな守護者を使って、襲撃者の前後から殴りかかる!  衝突防止用のシールドがついたドローンは、それなりに重い。  正面から突っ込んだドローンを、散弾が襲う。  2回発射された散弾は、その後ろにあった窓ガラスごとドローンを撃ち落とす。  その大きな音に、襲撃者自身もたじろいだようだ。  後から、もう1機のドローンが体当たりする。  膝の後にぶつかり、バランスを崩そうと狙っていた。  だが、重さにあまりに差があった。  襲撃者はすぐに手すりを握って立つと、2階に駆け上がった。  ドローンが追う。  襲撃者は、散弾銃を野球バットのように振り回し、ドローンを殴った。  弾切れの様だ。  ドローンは放されたものの、あきらめず跳びかかる。  襲撃者は銃を折り曲げ、空薬きょうを捨てる。  胸のベストから新しい弾丸を込め、再び2回撃った!  ドローンが、ふたたび窓ガラスとともに吹き飛ぶ。  派手な音は、本当にすぐそばで起こったことだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加