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襲撃者が、戸のカギを散弾銃で吹き飛ばした。
入ってくる足音がする。
散弾銃に、弾を込める音も。
この部屋も監視カメラはある。
襲撃者は、図書室の真ん中に立った。
そのまま周りを見回すこともなく、ただ立ち尽くしている。
その場で、膝まずくように座った。
そして、銃口を上に向けて床に下し、その上にあごを乗せた。
最後に、引き金に手をのばして……。
「「うわああ!! 」」
あまりの出来事に、私は大急ぎで立ち上がった。
あとは、辞書を投げつけた!
図らずも、優辞ちゃんも同じ行動をした。
2人で投げつけた辞書は、まっすぐ襲撃者の頭に飛んでいき、当たった!
その衝撃で頭がずれた。
直後、銃声が2回、響いた!
当たれば頭から血しぶきが……飛び散ってない!
「この野郎! 」
いつの間にか、優辞ちゃんが駆けていた。
直後、襲撃犯は本棚まで吹っ飛んだ。
「「「う、ウワアア!!! 」」」
とどろき重なるさけびが、図書室を揺るがした。
なぜか、図書準備室のドアがはじけ飛んだ。
中から分厚い本が、機関銃のように飛んできた。
隠れていた子供たちだ。
「ギャああ! 」
モップを持って跳び出した子が、私を見て叫んだ。
「ミオ先生の頭が、割れてる! 」
頭からたれたままのスマホを見て、割れてると思ったんだ。
あわてて頭を収めるが、そのことは子供たちの怒りを止めることはなかった。
「この野郎! 」
次々に飛んでくる本に、襲撃者は床にたたききつけられた。
「何でこんなことをするんだよ! 」
さらに、モップやホウキを持った子供が取り囲み、袋だたきにする!
優辞ちゃんがモップとホウキの間から、銃を引っ張りだした。
他の子が羽交締めにしたら、銃弾が詰まったベストも奪う。
両手両足をガムテープで縛るまで、みんな止まらなかった。
「私たちを見捨てなかったんだ」
優辞ちゃんがみんなを見てジ~ンと涙ぐんでいた。
「そうだね」
私も、心が熱くなるのを感じた。
オーナーたちが結婚したり、子供ができたのを知った時にも感じた現象だ。
それが私たちNPCの感動だ!
あまりにもうれしいことが起こると、それに付随するいろんな状況が思い起こされて、コンピューターが過負荷で動かなくなる。
一種のエラーだ。
でもそれが、心地よい。
これを装備してくれた製造プロジェクトに感謝した。
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