1人が本棚に入れています
本棚に追加
NPC(never player character)
ゲームなどで、プレイヤーの操作によらずに動くキャラクター。
状況説明したり、背景のための存在。
転じて、限定的な決定権を持ち、社会の中で働くAIを積み込んだ人型ロボット。
私のこと。
42年前。
北陸の伝統技能と先端技術を持つ企業たちが、デモンストレーションとして私たちを作った。
そのプロジェクトリーダーだった総合芸術家は言った。
『このNPCのNはNever、永遠です。
これの最後のオーナーは、その親さえ生まれていません! 』
その発表会で、踊ったのが私だよ。
製作者の宣言どおり、複数の県のバックアップもあって部品提供はずっと続いてる。
これなら100年先でも大丈夫そうだね。
全てのスタッフの先見の明に感謝します。
地方都市に特有の、田園風景や木漏れ日の路が美しい!
私は朝のスクールバスを運転しながらそう思った。たしかに思った。
このスクールバスは、町民も自由に使える。
老夫婦から保育園児まで、それなりに多種多様な人が乗っている。
それらのドラマに触れるのも、楽しみの一つだ。
今も、ひとり乗って来た。
一度「おはよう」と言えば、私を含めて5つくらい返事が返る。
寂しいと思うかい?
その心配は、この女子の中学生が来たらいらない。
正樹 優辞(まさき ゆうや)はJCにしては、グラマー。
バスケで鍛えた体もデカイが、態度もデカイ。
今日も私の後ろの席にドスンと座った。
ほらほら、話しかけてくるぞ。
と思ったら、まず腰を浮かせて私の顔をのぞき込んだ。
発車します。席についてシートベルトを締めてください。
ほっ。従ってくれた。
しかしさっきの表情、妙に憂いを帯びていたような。
と思ったら、口を寄せてきてささやいた。
最初のコメントを投稿しよう!