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バンバン、と。
寒さ対策のガラスが2重になった窓も、天井までぎっしり本が詰まった本棚も、シェルターも関係なく、その音は届いた。
その音を聞いた時、学校のAIは瞬時にそれが何かわかった。
甲高い警告音が鳴り響き、有無を言わさない校内放送が続く。
『警報。警報。銃の発射された音が、記録されました。
ただちに、外か、シェルターに、避難してください』
野太い男性をイメージした合成音が繰り返される。
「いけない! 」
この図書準備室にシェルターがあることは、みんな知っているはずだ。
でも、ほとんどの生徒がこの部屋に入ったこともないはず。
「優辞ちゃんも叫んで! 図書準備室にもシェルターがあるよって! 」
急いでシェルターを開きながら、そうお願いした。
「分かった! 図書準備室も、シェルターがあるよ! 」
たちまち、図書館にいた生徒が駆けこんできた。
校内放送の続きが流れる。
『銃を持った男が、給食室から不法に侵入しました。一刻の猶予もありません。
急いで、避難してください。
給食室に近づかないでください。
窓などからも逃げてください』
再び銃声が2つした。
廊下ではまだ、多くの人が走る気配がする。
その気配が突然、滞った。
そうだ。この図書室は2階。
この学校には階段が二つある。
みんな給食室から離れた階段に殺到したからだ!
「キャ! 」
人ごみの中で誰かが転んだ。
小柄な男子の生徒の膝から、血が流れていた。
「痛い! もう歩けないみたい! 」
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