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そんなある日、俺は思い切って告白することにした、俺と付き合ってほしいと。返事は「正社員になったら考えてあげる」というものだった。
女とは現実的な生き物なのだ。その日から正社員を目指すことにした。
俺は全力で就職活動をし、とある電気店への就職を勝ち取り働き始めた。
初任給で彼女にプレゼントをして、正社員になったことを伝えようとした。
とりあえず、彼女に探りをいれるべく「最近どうしてる?」とメールをしたら、「彼氏ができました」とイケメンとのツーショット写真が送られてきた。
俺はそのまま携帯電話を布団に投げつけた。
「お前が本気出したら何でもできるんだろ? そう言ってここを出て行ったじゃねぇか」
そんな事、言ったような気がする。あの時の俺は世間知らずでどうかしていた。
「ちょっと待ってろ」
店長は奥へ引っ込んで行った。しばらく戻ってこなかったので、その間に牛丼を食べ終えてしまった。財布から牛丼代金を出していると、店長がプラスチックケースを持ってきた。
「忘れもんだよ」
懐かしくなって俺は急いで開ける。その中には遊戯王のカードが隙間なく入っていた。店長と何度も対戦をした思い出が蘇る。いつも俺が勝っていたっけ。
そういえば、どんなカードがあったのだろうと思って、一枚引いてみる。
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