選択逃避

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俺はあなたと出会うかもしれないし、出会わないかもしれない。 じゃあ仮に出会った場合、 結婚して子供ができてマイホームを買って、たまには家族で旅行にいったりして…… きっと幸せな人生を歩むだろう。 じゃあ仮に出会わなかった場合、 仕事で一筋、上司や部下からの信頼も厚い。 順調に出世して、外車にも乗ったりして、40代になって20代の若い奥さんをもらうかもしれない。 きっと出会っても出会わなくても俺とあなたは幸せかもしれない。 でももちろん色んな道があるからそうなるとは限らない。 結婚すれば途中で離婚するかもしれないし、 小さい頃、親に捨てられるかもしれない。 事故に合って植物人間になるかもしれないし、 通り魔殺人事件に巻き込まれてナイフでさされるかもしれない。 何もかもに追い詰められてしまって首を吊って自殺するかもしれない。 大地震が起こって色んな災害に巻き込まれるかもしれない。 信じられないぐらいのかもしれないの数。 そんな幾億通りのかもしれないの途中でも、また選択をしなければいけない。 じゃあなんで俺はこの器に入ったのだろう? よくこんな言葉を聞きませんか? 子は生まれてくる場所が選べないとか、 神様は超えられない試練を与えないとか。 ホント、器のある奴は都合の良いことを言うもんだ。 まあ何にせよ、 もうこれ以上、選択し続けるのは限界なんだ。 選択してはそれをこなして、また選択してはこなしての繰り返し。 だからここらへんでその選択を終わりにしたいと思うんだ。 というか全てを終わりにしたい。 全てが滅茶滅茶になってしまえばいいと思う。 人、物、事、全部を粉々に粉砕して真っ平らにしちゃえばいいと思う。 そう俺は誰も抗うことができない高熱を宿したマグマみたいになってこの世界の全てを洗い流してしまいたい。
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