選択逃避

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「お客様自身の自問自答にです。お客様はゲームでお遊びになる前、なんでこんなに毎日が生きてて苦しいのか? なんで辛い事を選ばなければいけないのか? などとおっしゃっていました。ゲームはいかがでしたでしょうか?」 お姉さんにそう言われてから、言葉に詰まった。 そう結局、明確な答えは得られていない気がする。 そんな風に俺が俯いているとお姉さんが口を開いた。 「そんなに悩まれなくても大丈夫ですよ。ここで答えを言えた方は今までのお客様で1人もおりません。だってあなたはまだ途中! 生きていますから!」 このお姉さんの言葉が、何故かとても心に響いて俺は顔を上げた。 「私、ここで沢山、お悩みを抱えてるお客様のお相手をさせていただくので思うのですが、やっぱり人生ってそんな簡単なものじゃないですよ!  そんな簡単に答えが出たらお客様も、私も、世界中の全ての人が悩んでないはずですから! だから私、こう思うんです。どれだけ悩んだっていいし、立ち止まってもいい。 自分のペースで無理をしなくていいから、死ぬまでどっちがいいのかなって悔いが残らないように自問自答を繰り返しては選択して、ひたすらに生きてください。 先の見えない未来や過ぎた過去に今を奪われないでください。 今は今しかなくて今を選択できるのも他の誰でもない自分自身だけです。 選択する事さえしなければ、良くも悪くも、前にも後ろにも動けません。 それで動いた結果、どこに転んで行っても大丈夫です。 必ずどこかに同じ悩みや問題を抱えている仲間がいます。 仲間は集まり増え、お互いを助け合うものです。 世界ってそういう風に出来てると思うんです。 選択をし続ける事で状況は変わり、動いた分だけ強くなっていきます。 例え状況が悪くなったり、後ろに進んでしまった時でさえも必ず一歩、自分の意思で選択して足を踏み出しているはずですから。 選択する事の勇気の強さをどんどん手に入れていくはずです! そして沢山の勇気を使った様々な選択の結果が、 お客様の人生に初めて意味を答えを与えてあげられるはずです。 そして最後はこう言ってください! 『人生、解ーけた!』って!」
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