胸騒ぎの春

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胸騒ぎの春

笹野 ひより 34歳 OLしてます 入社したのは8年前 広告代理店です 長崎の実家を離れて 毎日バタバタな日々ですが 「 忙しいということは ありがたいということ」 母のその言葉を胸に 今日も生きてます! 朝8時… 昨日の残業で終われなかったデータ入力をしに早朝出社した私 「おはよ~」と眠たそうな目で挨拶してきたのは 私の同期の安曇野 莉子 同じく34歳 「あっ!莉子も来てたんだ!おはよう!」 「全然おわんなーい!昨日 折角ステキな婚活パーティーあったのに 行けなかったし~」 「頑張って今日中には終わらせよう!終わったら 前から行きたがってたビュッフェ行こう!奢るから!」 「ほんと~!わーい!頑張る~!」 2人のパソコンを叩く音が響いている 2時間が過ぎて いつもの慌ただしい雰囲気満点のオフィスになっていた 「あれ~?」 書類を見ながら顔を歪める莉子 「どうしたの?」 「ここ記入されてなくて…」 と見せてきたのは用土品で購入した履歴の領収書 日付けがない 「貸して 聞いてくるね」 内線を掛けて確認する私 事情がわかり莉子の元に戻る 「OKだよー これでお願いします! よく見落とさなかった!莉子ちゃん偉いわ!」 と莉子の肩を叩く私 「ひより主任みたいにはなれませんけど~」 「それ辞めてってばー!主任は禁句でしょう」 「顔良し 性格よし 頭もよし!天が3物与えた人!」 「ほらぁ ビュッフェ行けなくなるよー」 「はーい 頑張りまーす!」 お昼のチャイムが鳴り 手を止める私 プルルルル…プルルルル… すかさず内線が鳴った 「はい!情報システム担当 笹野です!」 相手は人事部の部長だ 「すまないが今 第2会議室に来てもらえるかね?」 「わかりました!すぐに伺います!」 内線を置いて莉子に告げる 「ごめん莉子 お昼先に行ってね。ちょっと行かなくちゃで…」 「またー?もう!ひよりにお昼の時間 ちゃんと与えてよー 上部達め!」 歯ぎしりする莉子が可愛く思えた(笑) 「夜までに終わらせよう!ビュッフェ行こうね!」 手を振り足早にエレベーターに乗り込む
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