いつもの

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そして翌日お昼近く。 大変な事態になった。 巨大勢力を保ったまま、超巨大台風、いや、ハリケーンが、だだっ広い駐車場の、コンビニひとつくらい吹き飛ばす勢いの強風豪雨。 しかも夜勤明けで帰ろうとしたメンバーも、一歩も出られないという。 バケツをひっくり返すなんて可愛いもんじゃない。 空が落ちてくるかと思うほどのスコール。 ガラスを叩きつける風。 本当にごみ入れのポリバケツが転がっていく。壊れた傘が飛んでいく。 「ガラスが割れる…」 1年先輩の長身眼鏡男子、布施(ふせ)さんが、青白い顔をして声を震わせ呟いた。 たかだか20歳そこそこで、人生で初めて恐怖を覚えた。
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