いつもの

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* 「ありがとうございました!」 急いでタオルを手に飛び出し、お店に招き入れる。 当然ながらずぶ濡れだ。 頭からわしわしと拭き、 「…姉ちゃん…これを」 蚊の鳴くような声でボソッと呟き、小さな包みを渡された。 「…金平糖…??」 「…バレンタインの…お返しや」 耳まで赤くなる。 「…あの、お客様皆様にお配りしてたものですが…」 誤解を招くような渡し方はしていないはずだけど。 けれど、さらにゆでダコのようになる。 スキンヘッドなのでなおさらだ。 「……いや。それでもいい……受け取ってくれ……」 「…はあ…ありがとうございます」 「いいじゃん。永和。フリーでしょ?付き合っちゃえば?」 布施さんに肘で小突かれる。 「えっ?えっ?!」
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