ぬくもり

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私の生活は人より遅く始まる。 起きて、お風呂に入って、 専属の髪の毛のセット屋に行ってから、 お客様とデートをし、仕事に行く。 言わゆる『夜の女』をやっている。 夜の女って言っても週3位しか出勤 してない、基本は店で『太』を捕まえて 店以外で会い良さそうな人だけ、 『パパ』にして糧にしている。 そのおかげか、お金は溜まる一方だし 生活は全く困ってない。 今住んでいるマンションも 買って頂いた物で、服やバック、靴、 装飾品全て自分で買ってないのだ。 逆に、不自由があるとすれば、 掛け持ちの『パパ』同士が対面しない様に 気をつけないといけない位。 今日は予定がないから、マツエクと、 ネイルのお手入れをして、 今からBARに飲みに行く。 急に知り合いから連絡が入ったからだ。 恋人はいない、 寧ろそんなものは要らない。 全くの不要物。 身をもってそれを学んできた。 昔読んで貰った本の中の、 完璧な王子様なんて居ないし、 ハッピーエンドで終わるわけじゃない。 そこからがスタートなんだ。 優しかったけど暴力的になった父親と、 色に狂った母親も、 昔はハッピーエンドだったんだろうから。 私は家族だったその人達を捨て、 この五月蝿い、 星のあまり見えない街にいる。 昔よりは随分幸せになったよ。
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