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「サキの店にも目をかけてもらって、アキオ君には本当に感謝しかないわ」
「……。今言うのもどうかと思うんだけど、例の話考えてくれたかな? 俺はずっとさっちゃんのことを……」
「待って、それ以上は言わないで」
「いや、言わせてくれ。俺は死んだあいつのことも愛してた。でも、片隅にはいつもさっちゃんがいたんだ。こんなことを言う自分が汚ならしいのも分かってる。だけど、正直でいたいんだ。さっちゃんの前では……。俺の届かなかった初恋の人だから」
女性の返事は佐藤には聞こえてこなかった。でも、誰が側にいようと忘れられない想いもあることは分からないではなかった。人間はそんなに綺麗なものじゃない。誰にだってそんな想いはあるはずだ。
そう思いながら、佐藤はテーブルに向かった。
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