第13話 大阪城の戦い

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それは正に轟音だった。 松藤さんの声は狭い部屋の中全体に響き渡った。 旧幕府軍の兵は皆、俺達に向けた刀を捨てざるを得ない状況に陥り、耳を塞ぐのに精一杯だった。 更に木材の壁は音の反響により、破壊され、松藤さんの目の前にいた兵達は吹き飛ばされてしまった。 「活路が開けもした。おいにしっかと捕まってくいやい」 松藤さんはそう言って俺を担ぐと、すぐさま『瞬足』を発動させた。 俺が驚く間もなく、いつの間にか大阪城が見える高台へと来ていた。 何とかこの窮地を脱する事ができた。 しかし、今の俺は安堵する暇はなかった。 突然、吐き気に襲われ、物陰に隠れて嘔吐してしまった。 素早い速さによる酔いのせいだ。 松藤さんは俺の背中を擦りながら謝った。 「すんもはん。じゃっどん、あの場はああするしかありもはんじゃした。許してたもんせ」 背中を摩ってくれたお陰で、少し気分が治った。 俺はゆっくりと姿勢を整えると、まず助けてくれた松藤さんにお礼を述べた。 「助けてくれてありがとうございます。しかし、計画は漏れていましたね」 松藤さんは深く頷き、俺に一方的に話していた男について説明してくれた。 「あん男は湯崎夜久郎。新撰組の諜報担当にして、霧島党の幹部の一人でごわす」
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