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霧島党……
噂は蘭之丞さんから耳にしていた。
俺の師匠、霧島影信が己が野望を叶えるために組織した魔法使いの集団だ。
魔法の素質があれば侍、商人、百姓、分け隔てなく魔法を教え育てた。
恐らく、湯崎夜久郎という新撰組隊士もその1人にだろう。
「あん男が得意とするのは洗脳でごわす」
どうやら松藤さんは湯崎と因縁がある様で、敵の追手から逃れながら語ってくれた。
「人の頭の中に入って意のままに操る事は然ることながら、厄介なんは他の魔法使いの居場所を特定できるということです」
「では俺達の居場所もすぐに感ずかれるのでは?」
「うんにゃ、そん心配はございもはん」
松藤さんは首を横に振って否定した。
「奴が見える範囲内は限られておりもす。おい達がいる場は範囲外でございもす」
「なるほど」
「じゃっどん、所詮は三下、力を溜めて再起を図れば必ずや勝てもす」
松藤さんは自信たっぷりに言い切った。
その自信が俺の疑問を確実なものにさせた。
「松藤さんはどうして霧島党について詳しいんですか?」
俺はいてもたってもいられず、抱いた疑問を聞いてみた。
松藤さんは少しだけ黙ったがすぐに正直に答えてくれた。
「おいはかつて、霧島党におりもした」
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