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「ちょ…ちょっと待ってくれ。私の死にたい理由?なんの話かね?」
彼の目を見ないように大袈裟にとぼける
そうしないと見透かされそうな気がしたからだ。
だが、
「いや…信じて貰えないかもしれませんが…私にはわかるんです」
彼は俯きかげんで心底残念そうに言った。
そういえば、少女もそんなことを言っていた…
「じゃぁ、仮にだ。私が死にたがっているとして…なぜわかる?」
なぜ見抜かれたのか。死にたがっているのは私自身の内部の思いだ。それをなぜ彼と少女はわかるというのか…。
「そ…それは…」
言葉に詰まって彼はまた宙を見上げた。どうやら癖らしい。
「どうしたね?」
「いや、その…」
私が急したせいで焦ったようだ。
どうしたもんかと彼は必死に悩んでいるように見える。
「私たちは、"視える"んだよ」
突然、少女が私と彼の間に割って入った。
「こ、こらっ!!」
「いいじゃない。事実なんだから」
彼の言葉を受け流し少女は続ける
「私たちは"死が視える"の。」
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