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裂かれた風がー
私に振りおろされたものの存在を教えている。それがなんなのかはわからない。だが、確実にそれは私を殺すのだろう
うん。
最後に美女に看取られて死ぬのも悪くない。
けれど、できればーー。
「ごめんなさい…」
首が寸断される直前。
何かが私に謝っていた。
少女では、ない。
もっとすぐ近く。
声は懺悔のように小さい。
だれだかわからない。
いや、わからなくてもいい。
今はただ死ぬだけだ。
そう…思ったのに…
「やめろーーっ!!!!!!!」
人気の無かった路地裏に突然響いた男の声。
その声は、目前にあった私の死を止めてしまった。
「あ…」
急に力が入らなくなってだらしなく尻餅をついた。
「いっ!!?」
少女が声の主を見てうろたえている。
…暗くてよく見えない。
声の主はズカズカと少女の方へ近付いて
「何考えてんだっ!!!バカっ!!!」
と耳を塞ぎたくなる大声で叱った。
「何って、解放に決まってるじゃない!!!」
少女も負けじと反論している。
…意味はわからないが。
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