「死 と 少女」

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「それがバカだって言ってんだ!!順番で俺が先って決めただろうがっ!!!」     「うるさいっ!!苦しんでる人は助けてあげなきゃいけないのっ!!」     「助け方に問題があるんだっての!!!」     ギャーギャーと辺りを気にせず言い合う2人。 言い合っている内容はよくわからないが1つわかるのは…     「私は…死ぬ機会を逃したってことか」     呟いてみるとなんだか惨めな気持ちになった。 心中し損なった人は…こんな気持ちなのだろうか…なんとも嫌な気分だ。   と、言い争いが終わったようで男の方が荒い息を鎮めながら私の方へとやってきた。     「大丈夫ですか?」     やっと顔が見えた。男は…二十歳ぐらいだろうか。一見するとどこにいてもわからなそうな中性型の顔立ちをしている。     「つかまってください」     男はそう言って手を差し伸べた。 だが… …こいつが…私の死を… …そう思うと急に憎らしくなり手を取らずに立ち上がった。
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