さよならの序曲──透視点

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駅前にあるネットカフェで、適当に時間を潰すことにした。 見たかった映画を見たり、学生時代に集められなかった漫画を全巻読破してみたりと、意外と楽しく時間が潰せた。 軽食もあるし、飲み物もまあまああるから、ちょっとした食事なら何とかなりそうだ。 それなりに時間を潰して外に出ると、すっかり夜の風景に変わっていた。 ネットカフェ恐るべし…。 玄関の鍵をそっと開けると、さすがに男達は帰ったらしい。 泊まられたら、俺は自室で眠れなかったに違いない。 それでも今日は眠れないだろうけど。 万琴さんは部屋にいる気配はないような感じがしたから、そっとキッチンを見ると…何事もなかったかのように料理をしている。 首の後ろ側、うなじの辺りにキスマークをいくつか付けたまま、平然と…! 髪が長いから分からないとでも思ったんだろうか。 結んでいれば分かるような場所に付いてるのに。 俺だって、万琴さんにキスマークの一つくらい付けたかった。 恋人がする本当に気持ちいいセックスとかしたかったよ…万琴さんのこと、本気で好きだったけど、俺と何もかも違いすぎる。 全部終わらせよう、俺も万琴さんもお互い知らない人になって、もう逢わない人生を歩んだ方がいい。
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