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「同じ会社の奴でさ、結構イケメンだぞ。歳は俺らより3つ下かな?」
並んで座っていた智也が勢い込んで身体を私に近づけ、紹介したい男の事を楽しげに話す。
智也の長い睫毛を眺めた。本人は気にしているようだが少しがっちりした鼻をしている。
でも、それも智也には似合っている。唇の輪郭がはっきりしている所もそうだ。
智也の全て目を閉じてもはっきり思い浮かべられる。それくらい長い間、私は智也を見つめ智也の顔を自分の脳にしっかりインプットさせてきた。
がっちりとした肩が私の肩に触れる。そんな事もお構いなしの智也は楽しそうに話を続けた。
「西 徹(にし とおる)。珍しい名前なんだよ。苗字と名前を合わせても漢字にすると二文字。それでさー」
西 徹。
それが智也の紹介してくれる男の名前らしかった。
西でも東でも、名前なんか無くたって構わない。私にはどうだって良い話だった。
私は智也以外の男には興味が持てない。
これは、智也と出会ってからずっと変わらない。
きっと、これからもそうだ。
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