琥珀色の季節

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「俺、絆創膏とか持ってないや。ごめん」 「いいの。大丈夫。家に帰るだけだから」 「そう? ごめん。そうだ。お詫びにこれ」 絆創膏が無かったくらいでお詫びも何もいらない位なのに、立ち上がった智也は私に謝ってくれた上にポケットから何かを取り出した。 それを私の手をとり、掌にのせた。 見ると、それはクマさんの絵が書いてある丸いシールだった。 掌に乗ったそれをしげしげと眺めてみた。 「それさあ、最近妹が毎日くれるんだ。今、妹のブームがシール集めでさ。馬鹿みたいにたくさん持ってんだよ。その中からくれんの。一日一枚。今日も良く頑張りましたねって先生みたいに偉そうにさ」 「だから、俺もあげる」
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