諦観の沼に差した光

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「ああっ、いや、やだっ、んはんんっ」  流しっぱなしの水流音なのか、夏樹の唾液の音なのか、美夕が溢れさせる蜜の音なのか、浴室には絶えず水音が響き渡っていた。 「お願い、やめて、あんんっ、いやっ」  ビクンッと躰を震わせながらも美夕は、目一杯に拡げさせられた足の間に埋まる夏樹の頭を離そうと必死にもがく。 しかし、手に力が入らなかった。  抵抗しても、無駄。  美夕の目から涙が溢れる。  出生を知ってしまった。  自分はもう、あの家には戻れない。 愛される資格もない。 「あ、ああ……」  夏樹の頭を離そうとしていた両の手から力が抜けた。
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