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束の間、夏樹の手が離れた。
しかし、直ぐに戻って来た夏樹が手に持っていたのは注射器だった。
「美夕ちゃんの反応が薄くなったからな。もう少し俺と楽しもうぜ」
殺していた美夕の意識が、照明の光を反射して光った注射器の針に覚醒した。
「な……っ」
「なんだよ、さっきまで大人しかったのによ。逃げんなよ」
後退りしようとした美夕の腕を夏樹が掴んだ。
「いやっ、やめて! それはなに!?」
注射器を構える夏樹は薄く笑った。
「一緒に気持ちよくなれるクスリだよ。ああ、俗に言うセックスドラッグってヤツ? 錠剤よりこっちの方が楽そうだから知り合いに頼んで手に入れたんだぜ」
美夕の全身から血の気が引いた。
「いやあっ! そんなの絶対にいやっ! お願い、大人しくするから、それだけはやめて!」
そんなものを打たれたら、ほんとうに自我が死んでしまう。
そうなったらもうーー、
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