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事の発端は、年が明けた直後。昨日のお昼前のことで。
入って一年の時が経ち、職場でのコミュニケーションの取り方にも慣れて――
互いに趣味について話せる程度には場に馴染んだ中での、上司からの下知だった。
「異動!? ……あやしか?」
「うん、そう。『怪し課』」
いきなり聞いたことのない部署へと、配属を変えられたのだ。
市民課や、生活課なら分かる。
だけど、怪し課とは。怪しってなんだ。
「怪し課なんて部署、聞いた事がないんですけど……」
「一応は、ちゃんとした部署なんだけどね」
“一応は”と補足が入っている時点で、ちゃんとしてないのでは。
しかも、その部署の業務内容は――妖怪を元の住処へと返すことらしい。
――唖然とした。悪い冗談だと思った。
年度途中の異動は無いと聞いていたから尚更だった。
「“一応は”って……」
そんな訳のわからない課へと異動だなんて。
これが俗に言う、職場いじめというやつだろうか。
悲観している私に、上司は無情にも説明を再開する。
異動の宣告を下した上司が言うには――
どうやら私には、少しだが妖怪を見る力があるらしい。
そんな馬鹿な……。
「私、妖怪なんて見たことないんですけど」
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