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「ずっと貴方の優しさに惹かれていました。大切な人を想いながら一生懸命花を選ぶ貴方の横顔を、ずっと見つめてきました…。私がその相手の人ならいいのに…って。私も貴方からそんな風に想われてみたいって…」
「………っ!」
「貴方から彼女と別れたと聞かされた時、私は貴方の恋人に同情しました。貴方のすばらしさに気付けないなんて可哀想な人だと。その人は貴方のことが全然見えていないんだと思いました」
「………白石さん」
「ひまわりの花言葉、『あなたはすばらしい』の他にもう一つあるんです。『あなたを見つめてる』」
「……っ」
「貴方を見つめてきたから、貴方のすばらしさもわかるんです…」
そう言った後、白石は花が綻ぶように笑った。
その姿に魅了される。
「だから、花が枯れたら忘れてなんて言わないで…ずっと一緒にいてください」
「……っいいんですか?俺なんかで…」
「緒方さんだからいいんです」
澱みのない瞳で俺を見つめながらきっぱりと言い切る白石さん。
なんかもう胸がいっぱいになって白石さんを抱き締めた。
鼻を擽ぐる甘い花の香り。
俺は三本の薔薇のお返しに、この世の中にあるどの花よりも綺麗な花を貰った。
「…好きです。白石さん」
腕の中にある花の名前を呼んでその赤く色付く頬にそっとキスをした。
-Fin-
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