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俺には行きつけの花屋があった。
初めて訪れたのは3年前の梅雨の時期。
大学に入って初めて彼女ができた俺は付き合って1ヶ月目の記念日に贈る花を選びにその花屋を訪れた。
どの花を贈ろうか悩んだ挙句、そこにいた女性の店員さんに相談した。
『大切な人へ贈る花を選びに来たんですが…自分じゃよくわからなくて…』
そう伝えると店員さんは快く相談に乗ってくれた。
彼女の誕生日やイメージ、好きな色などを俺から聞くと丁寧に花束を作ってくれた。
彼女が好きな青系統の花でまとめられた綺麗なブーケ。
彼女に手渡すととても喜んでくれた。
後で感謝を伝えに再びその店を訪れた。
それから記念日や誕生日など何かある度にその花屋を訪れるようになった。
その店員さんの名前は『白石』という名前だった。
名前のように色白で儚げな雰囲気を纏っていた。
年齢を聞くと俺と同い年であることが判明した。
高校を卒業後この花屋で働いているらしい。
白石さんは俺に花の名前や種類、花言葉を教えてくれた。
俺はその情報を元に彼女へ贈る花を一生懸命選んだ。
彼女と付き合い始めてから3年が経ち、大学4年になった時のことだった。
突然彼女から別れを切り出された。
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