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白石さんは三本の薔薇を丁寧にラッピングしてくれた。
会計を済ませた後薔薇を受け取ると白石さんに切り出した。
「あの…この数ヶ月、失恋を引きずって就職もうまくいかなくて散々でした。自分に自信が持てなくて挫けそうになった時、いつも貴女の言葉に救われてきました。
貴女から貰ったひまわりの花言葉に…。おかげで就職も無事に決まりました」
「…!それは、おめでとうございます」
「今日は貴女にお礼を伝えたくて来ました…ってのは表向きな理由で、…単純に会いたくて来ました」
「………え?」
「白石さんにずっと会いたかったんです…。俺、貴女の優しさに惹かれました」
すっと白石さんの前に薔薇の花を差し出した。
「この花を貴女に。僕にくれたひまわりの花言葉のお返しに」
「………え?」
「白石さんへの気持ちです」
三本の赤い薔薇。
白石さんなら、これが何を意味するかわかるだろう。
「……っ!私に……?」
出会って3年と数ヶ月。
今まで見たことのない、白石さんの戸惑いに満ちた表情。
「…といっても迷惑ですよね。だから花だけ受け取ってください。気持ちは受け流してくれていいですから。花が枯れたら、俺のことは忘れて。もうこの店にも来ませんから」
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