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私は目覚ましに使っているアナログの置き時計をマリーの前に置いた。
「これが時計ね。時間は、解る?」
「うん」
「よかった。これは、時間を見るものなの。私は毎日仕事で朝から出かけるけど、昨日と一昨日みたいに忙しい日じゃなければ、いつもは夜の7時くらいに家に帰って来られる。7時っていうのは……」
私はマリーに帰ってくる時間に時計の針がどうなっているか言葉で伝えて、実際時計の針を7時に合わせてみせた。
「こうなる少し前には帰ってこられると思うから、泣かないで待ってて。出来る?」
「うん、わかった! まり、なかないでまってる!」
マリーは迚も嬉しそうな表情を浮かべてくれた。
「他にも何か大事な事があるかもしれないから……、マリーの事、いろいろ教えて?」
「まりのこと?」
「うん。お家はどんなところなのかとか、好きな事とか好きな物とか」
「おうちはね、まっしろでふわふわで、きもちいいとこ! いっつも、みんなで、だれがいちばんたかくはねられるか、とか、だれがいちばんはやくはしれるか、とか、やってた!」
「みんな? 兄弟がいるの?」
「きょーだい?」
マリーは可愛らしく首をこてんと傾げた。
「同じお父さんとお母さんの子供って事だよ」
「それ、なぁに?」
「えっ……、ええっと…………、家族?」
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