序章

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買い物を終えて家に帰ると、買ったものと一緒にそっと袋に入れていたうさぎのぬいぐるみを真っ先に出してあげた。 「大丈夫だった?」 返事もしないぬいぐるみに何故かそう話しかけていた。 一人暮らしが長いから、つい独り言も増えてしまうのだけれど……。 それ以上に、私はその子が気になっていた。 「今日からここがあなたの家だからね。私は早希(さき)。宜しくね」 この子に名前をつけてあげなければと思った瞬間、「マリー」と聞こえた気がして、驚いて周りを見回してしまった。 でも、誰も居るはずがなかった。 「マリー?」 気のせいだろうと思いながらも気になって、そう声に出して言ってみた。 「マリーか……。うん、あなたに似合うね。そうしよう。あなたの名前はマリーね!」 私はマリーがとても可愛くて気に入っていた。 こんなに可愛いのにいらないだなんて、本当に酷い話だ。 あの少女の気持ちが私にはさっぱり解らなかった。 これが、私とマリーの出逢いの日だった。
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