第3話 マリーは凄い!

2/6
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
定時で仕事を終えた私は、何処にも寄らずに急いで家に帰った。 「ただいまっ!!」 玄関を開けると、いつもよりかなり大きな声で部屋の中に向かってそう言った。 「さき!? おかえりなさーい!!」 可愛らしい声で、そう返事が帰ってきて、私は心底ホッとした。 そして、とても嬉しかった。 「ただいま、マリー!」 急いで机の前まで行った私に、マリーはとても可愛い笑顔を見せて、飛びついてくれた。 「ごめんね、寂しかった?」 「だいじょぶだよ。まり、とけいみてたから」 「時計、見てた…? もしかして、ずっと?」 「うんっ! みっつのはりが、みんなちがううごきかたするから、おもしろいよ!」 「えっ……、何時から見てたの?」 「いちばんみじかいはりが、いちばんうえをむいてたときから」 いちばん上って事は12時で…………、えっ、約7時間も見てたって事!? 私はその事実にかなり驚愕していた。 「ごめんね、何か暇つぶしできるものを用意してあげればよかったね」 私は、本当にかわいそうな事をしたと思って心からそう謝った。 しかし、マリーはきょとんとした表情を見せた。 「なんであやまるの? まり、とけいみてて、たのしかったよ!」     
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!