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定時で仕事を終えた私は、何処にも寄らずに急いで家に帰った。
「ただいまっ!!」
玄関を開けると、いつもよりかなり大きな声で部屋の中に向かってそう言った。
「さき!? おかえりなさーい!!」
可愛らしい声で、そう返事が帰ってきて、私は心底ホッとした。
そして、とても嬉しかった。
「ただいま、マリー!」
急いで机の前まで行った私に、マリーはとても可愛い笑顔を見せて、飛びついてくれた。
「ごめんね、寂しかった?」
「だいじょぶだよ。まり、とけいみてたから」
「時計、見てた…? もしかして、ずっと?」
「うんっ! みっつのはりが、みんなちがううごきかたするから、おもしろいよ!」
「えっ……、何時から見てたの?」
「いちばんみじかいはりが、いちばんうえをむいてたときから」
いちばん上って事は12時で…………、えっ、約7時間も見てたって事!?
私はその事実にかなり驚愕していた。
「ごめんね、何か暇つぶしできるものを用意してあげればよかったね」
私は、本当にかわいそうな事をしたと思って心からそう謝った。
しかし、マリーはきょとんとした表情を見せた。
「なんであやまるの? まり、とけいみてて、たのしかったよ!」
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